水があればOK!非常食でもおいしいご飯が食べられる

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地震大国・日本ではどこに住んでいても災害にあう可能性があります。

大規模な災害が発生するとライフラインが停止し、水や電気の使用が制限される可能性があります。被害が深刻な地域だと、道路や鉄道が分断されて、食料品などの流通も止まってしまいます。そうするとしばらくの間、調理が困難になるどころか、満足に食事もとれない日が続くかもしれません。万が一に備えて、自宅に簡単に調理できる非常食を少なくとも3日分は準備しておきたいものです。

今回は、水だけで食べられるご飯の特徴や調理法、それが非常食に向いている理由などを詳しくご紹介します。

水だけで食べられるご飯とはどういうもの?

東日本大震災や熊本地震のようなM7クラスの大規模な災害が起きると一時的に電気やガス、水道といったライフラインが止まってしまう地域が出てきます。

特に食に影響を与え、調理ができなくなったり、冷蔵庫が使えないため食料品の保存ができなくなったりします。そんなときに重宝するのが防災用の非常食です。非常食のなかには、水で戻すだけで食べられる商品があります。

例えば、水をかけてまぜ、あとは待つだけでできあがるご飯です。炊飯器や土鍋を使ってお米を炊く必要はありません。水で戻して食べるご飯は、食品メーカーや非常食専門メーカーなどから販売されています。

調理が簡単なだけでなく、保存期間が5年と長期間保存が可能で非常食に適しています。

水戻しで食べられる秘密はアルファ化

なぜ水を戻して食べるご飯は炊飯器を使わなくてすむのでしょうか。それはお米をアルファ化しているからです。

お米のアルファ化とは、一度炊いたお米を熱風で急速に乾燥させて、旨味を閉じ込めることをいいます。お米は8割近くデンプンでできていますが、そのときの状態によりデンプン構造が変わります。生のお米ではβデンプン、炊飯したお米ではαデンプンになります。

αデンプンは美味しく体内で消化されやすいですが、βデンプンはそのままでは美味しくなく、体内で消化されにくいという性質を持ちます。通常、炊飯したお米は冷めるカチカチに乾燥し、生のお米と同じβデンプンに戻ります。

一方、アルファ化したお米は、冷めても炊飯したお米と同様のαデンプンの状態を保ちます。つまり、冷めてしまって乾燥し水分がない状態になっても、旨味はそのまま、体内でも消化されやすいのです。しかも、アルファ化したお米は炊飯前に洗米やつけ置きをする必要がありません。炊飯は水に戻すだけなので調理の手間もかかりません。

水があればOK!非常食でもおいしいご飯が食べられる

魅力は豊富なラインナップ

災害時はライフラインが分断されて、電気やガス、水道などが使えず不便になり、ストレスがたまる状態です。

特に避難所にいるとプライバシーが保たれないため、よりストレスを感じます。心労で体調を崩す人も少なくありません。極限状態のなか、せめて食事ぐらいは美味しいものを食べたいと思うのではないでしょうか。水で戻して食べるご飯は白米だけでなく、おかゆや山菜おこわ、えびピラフ、チキンライスなどさまざま種類があります。

各メーカーから10種類近くの味がセットで販売されています。種類が豊富にあることから、被災した状況であっても、小さいお子さんから高齢者まで好みの味を選べますし、日によって味の変化を付けることも可能です。少しでも食事を楽しむことができるでしょう。体調を崩してご飯を満足に食べられない場合にはおかゆもありますので安心です。

被災した状況であっても、非常食のラインナップを工夫することで、少しは被災者のストレス緩和となることでしょう。

水を入れたらすぐ食べられるの?

水で戻すご飯は水を入れてすぐに食べられるわけではありません。

水でもお湯でも美味しく食べられますが、水を使う場合は水を入れてから1時間ほど待つ必要があります。お湯を使っても食事をするまでに15分ほどかかります。調理の手順はいたって簡単で、まずは袋をあけて水もしくはお湯を注水線まで注ぎます。その後、スプーンでご飯をかき混ぜます。十分かき混ぜたあとに袋のチャックをして時間まで待ちましょう。時間になったら、袋を開けてなかのご飯をスプーンでほぐして完成です。

小学生の子どもや調理の経験ない人でも簡単に作ることができて便利です。調理方法は簡単ですが、食べられるまでに少し時間がかかります。特に水しか使えない場合は、お腹がすいてからすぐに食べられるように早めに準備しておくとよいでしょう。

水だけで食べられるご飯のここが非常食向き!

水で戻すご飯が主に非常食として販売されていることには理由があります。その利点をご紹介します。

まず1つめに、軽いことです。水を入れる前はお米が乾燥しているため、軽くてかさばりません。そのため、非常時の持ち運びに便利です。

2つ目に、長期保存が可能であることです。乾燥して水分がない状態であるため、腐る心配がありません。多くは保存期間が5年とされています。

3つ目に、保管場所を選ばないことです。長期間避難所にいて冷蔵庫が使えなかったとしても、食材をダメにすることがありません。

では、実際に大規模災害時にライフラインが復旧するまでにどのくらいかかるのかというと、2017年4月に発生した熊本地震では、被災地全世帯で電気が復旧するまでに1週間、ガスや水道はそれ以上の時間がかかりました。ライフラインが停止すると、満足な調理はできません。

さらに道路が分断されて流通が止まると、スーパーやコンビニで販売される食料品の数も限られてきます。そうなると、調理ができないどころか満足に食事もできなくなります。

そこで、「ご飯」の特徴も利点となります。満足に食事がとれない状態であっても、ご飯だと血糖値がゆるやかに上昇するため、満腹感が持続しやすいという特徴です。さらに種類が豊富にあるため、同じものを食べ続けて飽きる心配がありません。ご飯は咀嚼する回数も多いため、早食いを防ぐこともできます。

こんなにも利点の多い水で戻すご飯は、非常食に適していると言えるでしょう。非常食に加えない手はありませんね。
※参照元:平成28年熊本地震 地震概要 – 内閣府防災担当

http://www.bousai.go.jp/updates/h280414jishin/h28kumamoto/pdf/h280729sanko01.pdf

水があればOK!非常食でもおいしいご飯が食べられる

まとめ

非常時の持ち運びが便利で長期保存可能、保存場所に困らず、満腹感も得られるという水で戻すだけのご飯は、災害時にうってつけの非常食といってよいでしょう。

調理は水を使ってスプーンで混ぜて待つだけ、手間はかかりません。しかも、炊飯したお米と同じ食感や旨味を味わえるうえに、白米だけでなく山菜おこわ、エビピラフ、おかゆなどさまざまな種類の味を楽しむことができます。

幅広い年代の人で食べることができるでしょう。これから非常食を用意する人も、すでに用意している人も、万一のときに備えて、水で戻すだけのご飯を用意してみてはいかがでしょうか。

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