食料や水を非常用に用意し、こまめに補充しいても損はありませんよ。しかし、非常食は用意できていても、非常用の水に関しては必要量を備蓄できていないとされる家庭が多いのです。生活に必要な水は意外と多く、災害時になってからその重要性に気づくものです。後悔しないため人も、事前に適切な非常用の水の量を知っておきましょう。
ここでは、非常用に備えておく水について詳しく説明していきます。
水の1日分ってどれくらい?
人間1人が1日に必要としている水の量は、3リットルが目安とされています。
3リットルのうち2リットルは飲料水です。「そんなに水を飲んでいる?」と疑問に思う人がいるかもしれませんが、水をお茶やジュースなどに置き換えて換算してみると、無意識のうちにほとんどの人が1日2リットル前後の水分を口にしています。
水が不足すると消化や新陳代謝に影響が生まれます。脱水症状によって筋肉の働きが低下し、最悪の場合、生命の危険にさらされるケースもあります。理想としては、のどの渇きを覚える前に、水分を補給するといいでしょう。
残りの1リットルは生活用水として使用している分です。飲料水と比べると優先順位は落ちますが、健康かつ快適に過ごすためには欠かせない用途です。帰宅時やトイレの後に手を洗わなければ不衛生ですし、食器を洗うにも水は要ります。家族が多ければ多いほど、必要な水の量は増加します。
乳幼児の水は体重1kgあたり150ml
「1人あたり1日3リットル」というのは、あくまで大人の基準です。
子どもに関しては年代によって水分量の目安が変わっていきます。 乳児期の赤ちゃんが1日に必要としている水分量は、体重1キログラムに対し150ミリリットルといわれています。幼児期になれば1キログラムに対し100ミリリットル、小学生になれば1キログラムに対し80ミリリットルが基準です。体重40キログラムの小学生なら大人とほぼ変わらない水分を摂取していると計算できます。
乳児期のほうが水分量を必要としているのは、栄養補給のほとんどを水分によって行っているからです。また、ミルクを作るための水を考えると、乳児がいる家庭は余裕を持って飲料水を備蓄しておく必要性があります。 また、一般的には男性の方が女性よりも体が大きく、新陳代謝が活発なために多くの水分が必要になります。
男性が多い家庭でも、非常用の水分量は多めに想定しておくのがおすすめです。
節約すれば水の1日に必要な量は減らせる?
水の備蓄で一番確実なのは、十分な量の水を常に切らさないことです。
ただし、人数の多い家庭では水を確保するのが大変かもしれません。また、万が一災害時に家を出て避難しなければいけない状況下で、大量の飲料水を持ち出すことは困難です。
そこで、水の量を再確認してみましょう。備蓄した水のうち、できる限り減らしたくないのは飲料水で、大人が1日に飲む2リットル分です。生活用水である1日1リットル分の水は、工夫すれば節約できます。
たとえば、手洗いや入浴ならばウェットティッシュやウェットタオルで代用可能です。ラップを食器に巻けば汚れが直接つかないので、食器を洗う必要がなくなります。ウェットティッシュやラップは非常用グッズに加えてもそれほど容量をとらないのでお勧めです。
他にも、公共の水道水の場所をチェックしておくなどして、生活用水として使用できそうなスポットを覚えておくのもいいでしょう。
水のストックは各部屋に分散がおすすめ
水をストックする際には、保管方法にもこだわりたいところです。
避けたいのは、一箇所に非常食や水をまとめて保存してしまうことです。平常時の管理としては楽ですが、実際に災害が起きたときにはデメリットを発生させる恐れがあります。
例えば、全ての水が一斉に失われてしまった場合、災害時下で水と食料を確保しなおすことにという、困難なミッションを背負うことになるでしょう。また、家屋が倒壊して閉じ込められてしまったり、屋外が危険なため家から出られなったりする場合も考えられます。密閉空間の中で長時間過ごさなくてはいけなくなってしまったとき、水の調達は最重要課題の一つです。水を部屋ごとに置いておくと、調達がスムーズになります。
各個人の部屋だけでなく、書斎やリビングなどにも最低限の水は常備しておくといいでしょう。
賞味期限切れの水は?水道水の汲み置きもOK?
ペットボトルの飲料水には賞味期限があり、人が口にできる期間は制限されています。
開封後は雑菌が入り込んでしまう恐れがあるため、なるべく早く消費する必要があります。ただし、賞味期限が切れたからといって、飲料水をすぐに捨てないでください。再利用することができるのです。
例えば、体を洗ったり、食器を拭いたりする水としては十分に使用できます。飲み水と生活用水が判別できるような保存の仕方を考えておくといいでしょう。 また、水道水の期限については、近年では純度が上がり、飲み水として利用できるようになりました。
しかし、ペットボトルと違い、すでに空気へとさらされている水道水の賞味期限は決して長くありません。水道水には消毒塩素が含まれていますが、その効き目にも限度があります。飲み水としては、せいぜい5日程度で不向きになってしまいます。
浄水器などの機能が伴っているなどの例外を除き、水道水は生活用水として保管しておくのが無難です。
まとめ
災害時には、平常時には当然のようにあふれていた物の大切さをかみしめるものです。
水分はその最たる例でしょう。のどを潤してくれるのはもちろんですが、乳児やお年寄りにとって固形物が食べられない際の飲料水の有無は、場合によっては生死を分けるポイントにすらなります。また、飲みたいときに水が飲めない状況は大人でもストレスになりますし、水分が不足すると体だけでなく心にもダメージが与えられてしまうのです。
ただし、水はただたくさん備蓄しておけばいいというものでもありません。せっかく水をストックしていても、いざという状況で使用できないのであれば無意味になってしまいます。量だけでなく保管方法にも気を配り、災害時に有効利用できるように準備することが大切です。 水は、飲料として以外にも、衛生面を維持など様々な場面で使用します。
家族みんなで、水の大切さを今一度見直してみるといいかもしれません。
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