トイレットペーパーが不足したり、水が使用できなかったりする環境では、トイレを衛生的に保つのが難しくなる場合もあります。仮設トイレや簡易トイレには、汲み取り式の製品も少なくありません。衛生面に悪影響を与えるトラブルとして注意したいのが「悪臭」です。
トイレの悪臭は、人々を不快にさせるだけではなく様々な問題に発展しやすいといえます。今回は、簡易トイレに使用できる、消臭グッズの特徴とその使用方法についてご紹介します。
☆災害時のトイレの臭いは深刻な問題
災害時に深刻化しやすい問題として挙げられるのが「生活にまつわる衛生面の悪化」です。
災害時に水道や電気がストップしてしまうと、水は貴重な資源になります。トイレに水を使用することができなくなるため、衛生的な環境を保つのが難しいとされています。
災害時に避難所に仮設トイレが設けられても、多くの人々が使用して悪臭が発生しやすく、不衛生になってしまう場合もあります。不衛生な環境でトイレを使用することに抵抗がある人のなかには、トイレを我慢してしまう人もいるようです。
しかし、トイレを我慢していると膀胱炎や腸炎などを引き起こす原因にもなり得ます。
また、トイレが不衛生な環境のまま放置されてしまうと、サルモネラ菌やブドウ状球菌、大腸菌などの菌が繁殖しやすくなります。これらの菌は感染症を引き起こす原因にもなり危険です。
さらにトイレの不衛生な環境を放置しておくと、悪臭が害虫を繁殖させる原因にもなるのです。簡易トイレや、汲み取り式トイレを衛生的な状態に保つためには抗菌剤や消臭剤を使用し、雑菌や虫の繁殖を抑制することが重要です。
☆簡易トイレの消臭方法その1.凝固剤を使う
トイレの凝固剤とは排せつ物から発生する悪臭や雑菌を閉じ込め、より衛生的に処理しやすくする薬剤のことです。
凝固剤を使用した排せつ物は、ポリ袋のなかに入れたまま焼却処理を行えるタイプなどもあるため、災害時でも処理に手間取ることはありません。トイレの凝固剤を使用するメリットは臭いを閉じ込めるだけではありません。
トイレの凝固剤を使用する大きなメリットは「水がない環境でも排せつ物を速やかに処理しやすくなる」という点です。被災生活で十分な量の水がトイレに使えなくなると、汲み取り式のトイレから悪臭が発生しやすかったり、菌や害虫が増殖しやすくなったりします。
トイレの凝固剤を使用すると、排せつ物を速やかに処理しやすい状態に変えてくれます。速やかに排せつ物を処理すると悪臭の発生を抑えることにも繋がり、衛生環境を守ることに効果的です。
次にトイレの凝固剤を使用することで得られるメリットが「殺菌作用」です。災害時の特別な環境では、水を使用し排せつ物を処理できないため、放置されやすい環境にあります。排せつ物のなかには、さまざまな菌やウイルスが含まれています。
そのまま放置しておくと、これらの菌やウイルスが急速に増殖してしまい感染症を起こすこともあります。
☆簡易トイレの消臭方法その2.非常用消臭剤を使用する
簡易トイレを衛生的に保つサポートをするグッズは「トイレの凝固剤」だけではありません。
簡易トイレの衛生環境を守るためには「非常用消臭剤」を使用することも効果的な方法です。非常用消臭剤は、排せつ物の悪臭を強力に吸収する薬剤のことです。
通常のトイレ消臭剤よりも、さらに強力な消臭効果を期待できる製品が多いことも特徴です。非常用消臭剤の中には、排せつ物の悪臭を化学反応によって無臭化する製品などもあり、快適なトイレ環境をサポートします。
また、消臭剤のなかには悪臭を無臭化する働きを持つだけではなく、トイレを除菌できるタイプの製品もあります。臭いの発生だけではなく、菌や害虫の発生を抑制でき便利です。
しかし、非常用消臭剤を使用する際には、その使い方に注意が必要です。非常用消臭剤のなかには、薬剤をそのまま使うものと希釈して使うものがあります。使用方法を誤ると、適正な効果が得られなくなります。
また、希釈して使用すべき製品をそのまま簡易トイレに使用すると便器を傷める原因にも繋がってしまいます。
☆もし消臭グッズがなかったら… どうしたらいい?
トイレ用凝固剤や消臭剤を防災グッズとして用意しておくと、衛生的なトイレ環境を守りやすいと言えます。
しかし、トイレの凝固剤や消臭剤は不足しやすいグッズです。特にトイレの凝固剤は、トイレ1回につき製品を1袋使いきるものが多いです。すべてをトイレの凝固剤を使用して処理する場合、トイレの回数が多い人だと1日に5袋の凝固剤を使用することも少なくありません。
防災リュックに凝固剤や消臭グッズを準備していても、足りなくなる可能性も高いと言えます。トイレの衛生用品が手元にない場合には、ペット用排せつシートを活用するのも1つの方法です。ペット用排せつシートには、悪臭の原因になるアンモニアなどの原因物質を吸収する働きがあります。簡易トイレを使用する際に併用することで、悪臭を抑える効果を期待できるのです。
また、消臭グッズがない場合は、簡易トイレを使用した後に素早く処理をすることを心がけましょう。トイレ使用後、ポリ袋の口を開けたままにしておくと悪臭が放たれてしまう原因になります。簡易トイレを使用した後、すぐにポリ袋の口を結び、処理をすることで悪臭が広がってしまうのを防止する効果を期待できます。手元に消臭剤や凝固剤がない場合は、より速やかに排せつ物を処理するようにしましょう。
☆まとめ
災害時にトイレの環境は不衛生になりやすく、悪臭が発生しやすいといえます。
トイレの悪臭は、人々を不快にさせるだけではなく害虫や菌、ウイルスの繁殖などを招いてしまうのです。トイレの悪臭を取り除き、清潔な環境を保つためには消臭剤の使用が効果的です。
防災グッズには、消臭剤や殺菌作用のある凝固剤などを用意しておくと安心です。消臭剤や、凝固剤が手元にない場合はペット用の排せつシートを代用するなどの悪臭対策をしましょう。
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