そうなると、人間の築き上げたライフラインなどはあっという間に崩れ去ってしまいます。そんな時に明暗を分けるのが備蓄食料の有無です。ライフラインが断たれると食べ物を入手するのが困難になりますが、逆に言えば、そこさえ何とかなれば危機的状況が去るまでの間をしのぐことは可能です。
そこで、災害時に備えてこれだけは用意しておきたいという食品リストについて紹介をしていきます。
ライフラインの復旧にかかる日数とは?
災害時の備蓄食料がどの程度必要かを考えるには、まず電気・ガス・水道などのライフラインが普及するまでにどのくらいの日数を要するかを検証する必要があります。
それらのライフラインが普及しないことには、安定した食糧供給が望めないからです。そこで、平成の2大災害とも言える阪神淡路大震災と東日本大震災を例にとって検証を行っていきます。
電気、ガス、水道の中で圧倒的に復旧が早いのは電気です。阪神淡路大震災の際は2日、東日本大震災でも地震発生から6日後には震災地域の約9割で電気が復旧しています。したがって、大災害で電気が使えなくなる期間は最大で1週間と見積もっておけばよいでしょう。
電気さえ通えば、IHヒータや電気コンロなどを使って調理が可能となります。ただ、問題は水の確保です。水道の復旧がほぼ完了するまでの期間を見てみると、東日本大震災で24日、阪神淡路大震災に至っては34日もかかっているのです。
もちろん、その間、水がまったく手に入らないとうわけではなく、水道が復旧するまでは給水車による水の配給が行われます。そして、その時に大切なのは給水タンクや給水袋など、水を受け取れる容器を用意しておくことです。
最後はガスですが、9割復旧まで東日本大震災では34日、阪神大震災では61日もかかっています。このことからも、家にガス調理器しかないというのは不安が残ります。普段はガスで調理している家庭でも、非常時に備えて電気調理加熱器も用意しておくと安心です。
災害後1週間を乗り切るための備蓄ポイント
自然災害に襲われた時、最初の山場は災害後の1週間です。
大規模災害だった場合、この期間はライフラインが完全に断たれ、外部からの援助もほとんど期待できない可能性があります。そうした最悪の事態を想定して備蓄のポイントについて考えていきましょう。
まず、何よりも必要なのは水です。人間は食べるものがなくてもしばらくは頑張れますが、水がないとたやすく衰弱してしまいます。そして、人が1日に最低限必要な飲料水はおよそ1リットルと言われています。しかし、調理に使ったり、真夏の暑い時期に災害に襲われたりした場合を考えると1日3リットルは確保したいところです。
次に、水以外の食料ですが、たとえ、食材があっても電気、ガスのライフラインが断たれていては通常の調理加熱器は使用できません。そこで、必要になってくるのがカセットコンロです。これとカセットボンベさえあれば、ライフラインが断たれていても調理が可能になります。
備蓄する食料については炭水化物の確保を第一に考えましょう。
エネルギーの源となる炭水化物がないことには人は活動不能に陥ってしまうからです。炭水化物を多く得られる食材にはパンやシリアルなど色々ありますが、とりあえずは長期保存の効くものを中心に考えればよいでしょう。
そして、炭水化物の次に必要となるのがタンパク質です。これもやはり缶詰のような長期保存の効くものから候補に挙げていくのが賢明です。ただし、その際は缶切りがなくても開けられるタイプのものを選びましょう。
最後に、食料全体の備蓄量ですが、これは1日大人1人のカロリー摂取量が1500カロリーと考え、それに基づいて1週間でどれだけ必要かを計算してください。
最低限備蓄しておきたい食料品リスト
次に、食料品リストの具体例を挙げていきます。なお、以下に示す量は1週間1人分の食料として計算をしています。
まず、水は1日3リットルで計算して、21リットルは確保しておきたいところです。2リットルのペットボトルだと約11本分になります。
次に主食です。精米か無洗米を1食75gとして10食分で750g、レトルトご飯7食分、うどんやパスタの乾麺を2食分で200g、カップ麺1個、乾パン1袋が目安です。これで21食、1週間分の主食となります。
そして、炭水化物を確保した後はタンパク質の備蓄についても考える必要があります。肉、魚、豆などの缶詰が10缶、カレー、シチュー、ハンバーグなどのレトルト食品が7袋、ロングライフ牛乳が1本、充填豆腐が3個で1週間分です。
あとは野菜や果実ですが、これは野菜や果汁の缶ジュース、果物の缶詰、乾燥ワカメ、ドライフルーツなど保存が効くものを適量選んでおきます。それ以外にも、塩や砂糖などの調味料、コーヒー、紅茶などの嗜好品、チョコレート、ビスケットといった菓子類のようなものを用意しておくのもよいでしょう。
塩や砂糖には殺菌効果や疲労回復効果がありますし、嗜好品やお菓子は被災地生活で溜まったストレスを解消してくれる効果が期待できます。
以上が、自然災害に備えての備蓄リストですが、これはあくまでも一例にすぎません。参考にしつつも自分に合ったリストを考えていきましょう。
備蓄しておきたい主食リスト
備蓄食料品の中でも特に重要度が高いのが主食です。そこで、備蓄に適している主食の種類とそれぞれの特徴についてみていきます。
お米は長期保存が可能な主食として古くから備蓄食料として利用されてきました。しかし、食べる際には研ぎ水が必要であるという難点があります。100gのお米を炊くには150ccほどの水が必要ですが、研ぐのに必要な水はそれの4倍の600ccほどです。
水道が使えない災害時においては、かなりの水の浪費になるでしょう。そこでおすすめなのが無洗米です。これならお米を洗わずにすむので、水の節約につながります。ただ、通常のお米に比べて若干価格が高いのが短所です。
生のお米以外にはレトルトご飯という選択肢もあります。手軽に調理できるという長所がありますが、やはり湯せんを行うのに米を研ぐのと同じくらいの水が必要です。中には、湯せんなしで食べられるものもありますが、味はどうしても落ちてしまいます。
その点、アルファ米はお湯をかけただけで食べられるので水を無駄にしなくてすみます。また、比較的軽量で持ち運びに便利だという長所もあります。そのかわり、味が合わないという人も多いので、あらかじめ色々な種類を試した上で気に入ったものを選べばよいでしょう。
パンはあまり日持ちがしませんが、現代では缶詰のパンもありますし、水分の少ないフランスパンなどであればある程度の保存が可能です。餅は切り餅でなく、薄くスライスしたものを選ぶと調理の際に熱源を節約できます。
他にはそば、うどん、そうめん、パスタといった乾麺も賞味期限が長いために備蓄食料に向いています。一方、カップ麺はお湯をかけるだけで手軽に食べられるのが利点ですが、塩分の取り過ぎには注意が必要です。
その他にも、備蓄用の主食には乾パンやシリアルなどがあります。特に、シリアルはロングライフ牛乳と合わせると栄養も豊富に摂取できるので、一石二鳥です。
まとめ
自然災害というものはいつ起きるかという予測は困難です。
したがって、いざという時に備えての食料品の備蓄は常に行っておいた方が賢明です。まずは必要な食料品リストを作りましょう。そして、現在ある食料と照らし合わせて足りないものを買い足していくのです。
あとは賞味期限の近づいたものは優先的に食べるようにし、足りなくなったものは定期的にチェックして再び買い足します。これを繰り返していくとことで、いざという時でも慌てずにすむ食料の備蓄体制ができあがっていきます。
安心して毎日を過ごすために、ぜひ家庭での食料備蓄について考えてみてください。
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