だからこそ普段から非常食や飲料水、また防災グッズなどをそろえておくことが大切ですが、いざ準備を進めると、若い人でも重いと感じるほどの荷物量になってしまったり、非常食は乾燥したものばかりで飲み込みにくいものばかり選んでしまっていたり…という事態になっていませんか?
高齢者の立場になると、その準備はかえって避難の負担になってしまう可能性があります。
家庭に高齢者がいる場合は高齢者だからこそ必要なものや、避難を助けるグッズを準備しなければなりません。今回は高齢者に必要な防災セットについてお話していきます。
避難における高齢者の問題
災害時要援護者という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
これは体が不自由なため、災害が起きた際に自力避難が困難な人のことを指し、体が自由に動きにくくなり、視力や聴力が落ちてしまった高齢者も該当しています。
高齢者は若い人より避難が遅れてしまううえ、建物の崩壊など危険が迫る音や周囲の声などが聞こえづらいため避難中も危険です。
また避難所での生活は健康な若い人にとっても大変ですが、高齢者にはより大きな負担になります。
その理由は、避難生活中は運動量が減るため体力が落ちるだけでなく、集団生活の中ではインフルエンザや風邪などが感染しやすいため、免疫力の低い高齢者は体調を崩しやすいためです。
国がまとめた報告書によると、東日本大震災の避難生活によって病気や体調が悪化し、死亡した震災関連死の9割が60代以上の高齢者でした。
こうした高齢者の避難時における課題を少しでも軽減するためには、高齢者の避難には何が必要かをしっかり考えたうえで、防災について備えることが必要です。
災害発生時に高齢者に必要なものは?
災害が起きて避難しなければならなくなったとき、高齢者が一番必要とするのは周囲のサポートです。
先ほどもお話ししたように、年齢を重ねると素早く動くことが困難になります。
そのため災害が起きたら誰かに体を支えて一緒に逃げてもらう必要があります。
普段からどのような荷物を持ってどの道順に逃げれば一番負担がないかを周りの人と話をしておくとよいでしょう。
避難する際に持っていく荷物は、健康にかかわるものを優先しましょう。
最低限必要なものの例を挙げると、常備薬のストック、お薬手帳、保険証のコピーをはじめ、逃げる際に移動が楽になる杖、家族の連絡先や住所が書いたメモ、故障や破損を想定して普段使いとは別の眼鏡や補聴器、入れ歯用洗剤などがあります。
そのほか、声が出にくいときでも、音を出して自分の居場所を知らせる笛やブザーも必須です。
また就寝中に災害に遭うとパニックを起こしてしまう可能性もあります。
枕元にも靴やスリッパ、懐中電灯、着替えを置いておくとすぐ持って逃げることができるので、日ごろからおいておくよう習慣づけましょう。
高齢者に最適な防災グッズとは?
まずは持ち運びやすいものが一番大切です。入れる袋は両手が空くリュックタイプがおすすめで、さらに太い肩ベルトタイプのものを選ぶと肩の負担も緩和されます。
荷物は重いと避難の負担になってしまうので、携帯電話を充電できるラジオのように1つで多彩な役割があるグッズがいいでしょう。
ただし特に機械は使いなれていないと、使いこなせず荷物になるだけなので、ワンタッチで簡単に操作できるものにしましょう。
体調を考えて、冬は保温、夏は暑さをしのげるアルミブランケットはおすすめです。
普通の毛布より軽いので、荷物にもなりにくいメリットもあります。
ほかに健康面で必要なものは感染症を防ぐマスクや除菌シートをはじめ、トイレ不足からくる脱水症状を防ぐために簡易トイレも複数用意しておきましょう。
非常食はおかゆなど柔らかいものがベターです。また栄養不足による体調不良を起こさないためにも、野菜ジュースや柔らかいレトルト食品、常備薬と飲み合わせに問題がないサプリメントを用意するのも重要です。
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