しかし、災害時に不足しやすいのは食料や水だけではありません。被災生活のトイレ不足は深刻化しやすい問題でもあります。そこで、用意しておくと安心なのが「簡易トイレ」です。
簡易トイレには、水洗トイレの便器に袋をはめて使用するものや、折りたたみ式の簡易便器にはめて使用するものなどがあります。今回は、被災生活を乗り切るために準備しておきたい「簡易トイレ」についてご紹介していきます。
☆いざという時のために用意しておきたい持ち出し袋
災害時には、水や電気、ガスなどのライフラインが止まってしまうことも考えられます。
家が無事だったとしても、通常通りの生活が送れるとは限りません。有事の際に必要な防災グッズを用意していないと自分たちの安全な生活を守るのは難しいです。そこで、用意しておきたいのが「持ち出し袋」です。
持ち出し袋とは、災害時でも最低限の生活を送るために必要な防災グッズをまとめた袋のことを指します。災害が発生してから必要なアイテムをまとめて家を出るのでは、十分な時間がありません。あらかじめ、持ち出し袋の中に必要なグッズをまとめておくことによって、速やかに避難できます。
持ち出し袋のなかには、最低限の生活を送るために必要なグッズを3日分程度は入れておくのが良いとされています。災害時には、すぐに救援物資が届くとは限りません。公的な機関が救援物資を運ぶまでには、1週間程度期間が開いてしまう場合もあります。この場合、数日間最低限の生活を送るための食料や水、医療道具などは自分で用意することが必要になります。
防災グッズの量は家族の人数によっても異なるため、適切な大きさのかばんやリュックを用意するようにしましょう。
☆持ち出し袋の中には何をいれておくべき?
持ち出し袋のなかに入れておきたいものとして「食料」が挙げられます。
ガスや水道が止まることを想定し、火を使わなくてもさっと食べられるカンパンや栄養補助剤、水などを用意しておくと良いでしょう。備蓄用の食料や水は、賞味期限を確認しておくのも忘れないことが大切です。非常食用の食品も、数ヶ月~数年単位で賞味期限が設定されています。
災害時には身の回りが不衛生になりがちで、道や建物内に散ったがれきなどでケガをしてしまうことも少なくありません。切り傷や打撲などの軽いケガに対処できるように、医療小物も用意しておきましょう。持ち出し袋の中には、絆創膏や包帯、消毒液などを入れておくと安心です。
さらにトイレの凝固剤やウェットティッシュなども用意しておくと、より衛生環境を保てます。ストレスから不眠になってしまうと、心身共に疲やすくなり体調に悪影響を及ぼす場合もあります。そんな状況を回避するためには「エア枕」や「エアマット」、「寝袋」などの安眠グッズを用意しておくといいでしょう。
☆災害時にとっても困るのがトイレについて
災害時に水や電気などが止まってしまうと、自宅のトイレは使用できなくなります。
避難所には仮設トイレが設置されることも多いです。しかし、避難所には多くの人々が集まるため、「トイレに行きたい」と思ったときに使用できないこともあるようです。すぐに用を足せないことが、心と体の負担になってしまいやすく体調不良の原因にもなります。
また、臭いや排せつ物が気になってトイレをしようすることに抵抗を感じる人も少なくありません。トイレを我慢すると膀胱炎になるリスクも高まります。膀胱炎は、長時間排せつを我慢して膀胱内で雑菌が繁殖することによって起こる病気です。発症すると、排尿時に強い痛みを感じるといわれています。
治療には雑菌を殺す抗生剤などが用いられますが、避難所で専門薬を入手することは難しいです。また、水を使用して排せつ物を処理できないと雑菌やウイルスが繁殖しやすくなります。排せつ物内で繁殖しやすいウイルスや菌として大腸菌や、ガンジタ菌、サルモネラ菌、ブドウ状球菌などが挙げられます。これらの感染症は、専門薬での治療が必要です。
しかし、災害時には専門治療を受けられない場合もあります。災害時の、精神的・体力的に弱った環境下では感染症が流行しやすく、注意が必要です。
☆これは忘れないで!簡易トイレ
被災生活のトイレ問題を回避し、安心して用を足すためには簡易トイレを用意しておくと良いでしょう。
簡易トイレとは、災害時でも持ち運ぶことができ、屋内・屋外などさまざまな環境下で使用できるトイレのことです。その形状や使用後の処理方法は製品によって異なります。
排せつ物の処理方法も異なり、し尿を溜めるタイプ、し尿を分解するタイプ、電池式で排せつ物を自動処理するタイプなど処理方法は多彩です。携帯簡易トイレは、袋タイプや小さなボックスタイプの製品が多く、文字通り持ち運びがしやすいの特徴で、防災グッズとして保管しておくのにも便利です。
屋外で簡易トイレを使用する場合、テント付き簡易トイレの使用がおすすめです。テントの中には、使用時に影映りがしないように特殊な加工がされていて、プライバシーを守ることのできる製品もあって、人目に付きやすい場所でも使用しやすくなっています。
テントや簡易便器の持ち運びが難しい場合は、携帯できる簡易トイレが良いでしょう。簡易トイレの中には、断水した場合でも自宅のトイレで使用できるタイプもあります。自宅の水洗トイレに設置して使用する簡易トイレは、いつもの環境に近い中で用を足せることが特徴です。使用後は他の簡易トイレと同じように凝固剤などで臭いが漏れないよう処理できます。
☆まとめ
「避難所にトイレが設置されるから」という理由で、簡易トイレは必要ないと考える人もいます。
仮設トイレが設置されるまでには時間がかかることもあり、そのあいだのトイレに困ってしまう場合もあるのです。仮設トイレが設置されても、不衛生になりやすい環境であるため、使用をためらう人もいます。
トイレ不足に悩まないためにも、自身で簡易トイレを用意しておくと安心です。簡易トイレを用意する際には、排せつ物の処理方法やトイレタイプなどをきちんと確認するようにしましょう。
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