しかし、災害時に必要になるのはこれらの防災グッズだけではありません。トイレ用品の備えも重要になります。
簡易トイレや凝固剤などを用意するのも大切ですが、トイレットペーパーも忘れずに用意しておくと安心です。しかし、トイレットペーパーは不足しやすいグッズともいえます。普段の生活の中で備蓄しておくのが良いでしょう。
今回は、災害時にトイレットペーパーが必要になる理由とその重要性について解説します。
☆経済産業省が呼びかけているトイレットペーパーの備蓄
阪神淡路大震災が発生した際、人々を困らせたのは食糧不足でも衣服不足でもありませんでした。
災害後に問題となったのが「深刻なトイレ不足」です。トイレの台数のみならず、深刻なトイレットペーパー不足に現場は混乱しました。東日本大震災では、災害に遭った地域だけでなく全国的にトイレットペーパーが品薄状態に陥りました。トイレットペーパーの国内生産の40%は静岡県で行われています。
静岡県で災害が起こった場合は、全国的にトイレットペーパーが品薄状態になってしまうといわれています。これらの理由から経済産業省が日本家庭紙工業会に呼びかけ「トイレットペーパー供給継続計画」が策定されました。有事の際には、構成員であるメーカーがトイレッペーパーの増刷などを実施することが定められています。
それでも1ヶ月程度の混乱が予測されるため、経済産業省は各家庭でトイレットペーパーを備蓄することを呼びかけています。防災グッズを準備する際には、トイレットペーパーを含めることを忘れないようにしたいところです。
☆災害時にトイレットペーパーがないとどうなる?
災害時は水道や電気など、人々の生活に欠かすことができないライフラインが止まってしまうことも考えられます。
この場合、水は貴重な資源になるため、トイレの際に水を使用するのは難しくなってしまう場合もあります。そんな環境の中で問題になってくるのが「衛生面」です。排せつ物の中には、さまざまな菌が含まれています。水を使用できず衛生的な環境を保てなくなると、重篤な感染症を引き起こす大腸菌やサルモネラ菌、ガンジタ菌、ブドウ状球菌などが繁殖してしまう恐れがあります。水を使用し、排せつ物を処理できなくてもトイレの凝固剤を使用することで殺菌ができるといわれています。
しかし、トイレットペーパーが不足すると、体を清潔に保てなくなってしまうために感染症のリスクが高まってしまいやすいのです。感染症は、治療薬がないと速やかに症状を抑えることができません。災害という特別な環境の中では、感染症に対する十分な治療が行えない場合もあります。
子供や高齢者が感染してしまった場合は、重篤な症状を引き起こしてしまうことも考えられます。人々の体を生活に保ち、感染症を予防するためにもトイレットペーパーは必要な資源なのです。
☆トイレで困らないために!用意しておくトイレットペーパーの量
経済産業省が呼びかけているトイレットペーパーの備蓄量は1ヶ月分です。
これは、「トイレットペーパー供給継続計画」と深い関わりがあります。災害が起こった際には、日本家庭紙工業会が定めたトイレットペーパー供給継続計画により、トイレットペーパーが増刷されることが定められています。
しかし災害発生後、各メーカーでトイレットペーパーを増刷しても、被災地に製品を届けるには時間がかかってしまいます。1ヶ月程度の期間が必要になる場合が多いため、経済産業省では各家庭でトイレットペーパーを1ヶ月分備蓄しておくことが推奨されています。
自分が住んでいる地域に被害がなくても、トイレットペーパーが不足する可能性もあるため、意識して備蓄しておくと安心です。トイレットペーパーの備蓄量は、家族の人数によっても変わります。
災害が発生した際にトイレットペーパーは貴重な資源となるため、少量ずつ使うのが望ましいです。備蓄用の製品は、普段使い用の製品と分けて保管しておくようにしましょう 。
☆災害時に適したトイレットペーパーの種類とは?
災害が起こった際には、水道管が破裂したりする場合もあります。
トイレットペーパーは水に溶ける性質を持っているため、水に浸食されてしまうと使用できなくなってしまいます。災害時に備えてトイレットペーパーを備蓄していても、いざというときに使用できなければ意味がありません。そのため、備蓄用のトイレットペーパーは、濡れないようにビニールで包装されているものを選ぶと良いでしょう。
また、ペーパーホルダーがなければ芯がないタイプの製品でも問題ありません。4人家族が使用する1ヶ月分のトイレットペーパーを備蓄しておこうとすると、かなりの本数が必要になるのも事実です。大量のトイレットペーパーを備蓄しておくことは、収納スペースの面から見て難しいと考える人もいるようです。そんな家庭のために、備蓄用として製造されているトイレットペーパーもあります。備蓄用のトイレットペーパーは、通常の製品と比べると長巻で芯がついていないものが多いです。
長巻タイプのトイレットペーパーは収納スペースを取らずに備蓄しておけるのがメリットです。必ずしもトイレットペーパーとしてだけの利用に限らず、止血などに利用できるのもメリットと言えるでしょう。災害時にもさっと持ち出せるように、防災グッズやリュックのそばに収納しておくと安心です。
☆まとめ
防災グッズといえば、食料品や水、医療用品などを思い浮かべる人が多いでしょう。
しかし、災害時にはトイレの衛生環境が問題になりやすいことも事実です。自分の体を清潔に保ち、感染症などの病気から身を守るためにも、トイレットペーパーを備蓄しておくことは重要です。
トイレットペーパーは水に溶ける性質を持っているため、浸水しにくいようビニールに入った状態で備蓄しておくと良いでしょう。トイレットペーパーは、家族全員で使用しても1ヶ月程度持つように備蓄しておくと安心です。収納スペースが狭い場合は、長巻きタイプのトイレットペーパーを購入すると良いでしょう。
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